富士の比奈地区はかぐや姫の発祥地とされています。 一般的に知られる話ではかぐや姫は月に帰りますが、この地に伝わる話では・・・ 昔々籠畑と呼ばれる地に老夫婦が住んでいました。お爺さんは籠を作ることを仕事としており、村人は 「作竹翁(さくたけのおきな)」と呼んでおりました。 ある日、お爺さんは竹の中から一寸あまりの少女を授かりました。少女は日ごと美しく成長し容姿端麗、無双の美女で 「かぐや姫」と名付けられました。この美しい姫の噂を聞いた国司(今の役職だと県知事クラス)は珍しい宝物を持って招いたが応じなかったために、姫のもとに押しかけ居座ってしまいました。 数年間はかぐや姫と国司は一緒に暮らしました。あるとき姫が暇を貰い富士山の仙洞に帰りたいと言い出しますが許してもらえないため、一つの箱を置いて去ってしまいました。 国司は悲しみ姫の後を追って富士山の山頂へ追いかけて行くと、山頂には大きな池がありその中に宮殿がありました。宮殿から出てきた姫はもはや人間ではなく天女となっており、今までの姫とは容姿が変わっていたために国司は嘆き悲しみ、姫から貰った箱を抱えて池に身を投げてしまったそうです。 他に伝わる話ではかぐや姫は不老不死の妙薬を残して行き、姫の後を追って富士山に来た帝は姫から貰った不老不死の 妙薬を焼いてしまったと伝えられており、それから不老不死の薬を焼いた山を不二(富士)と呼んだそうです。 不老不死の薬といえば、秦の始皇帝の命を受けた徐福が不老不死の薬があると言われる東海の蓬莱へ旅に出ますが、その蓬莱山こそ富士山かもしれません。 現在、浮島沼と呼ばれる湿地帯ははるか昔は大きな湖だったと推測されているので、富士山は海に浮かぶ島のように見えたのかも知れません。 |